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2008年12月18日 (木)

久しぶりに…38~続き(本日で一応最後)

昨日は、急用で更新できませんでした。申し訳ありません。

本日も、「わたしの名は「紅」」について。

昨日は、この本の人間関係や感情についてザッと書いてみましたが、本日は歴史的・文化的な部分に注目してみます。

この本が、16世紀末のオスマントルコの都、イスタンブルを舞台としてかかれたものだと言うことは、先日も説明しました。

オスマントルコがどういう国だったかー私はこの国になぜか興味をおぼえ、いろいろな本を読んだ事があります。

オスマントルコは、イスラム文化の国。この本に出てくる細密画は、このイスラム文化の代表となるものです。

私は、この細密画の実物を見たことはありませんが(テレビとか本でしか見た事がありません 泣)、一度は見てみたいものだと思っています。

イスラム世界、というと、「閉鎖的で他を受け入れない」と思っていらっしゃる方が多いかもしれませんが、実際はそうではなかったようです。

オスマントルコは、「緩やかな専制」を取った国で、それがこの国が長く繁栄を続ける事ができた原因のようです。なので、他の文化に対しても、同じようなところがあったのではないかと思います。

ですが、この本の場合、その「寛大さ」が殺人事件の原因の一つとなってしまったようです。

恐らく、実際に、こういった細密画師同士の覇権争い(?)や絵や文化に関する考え方の違いから、人間同士の対立や争いが耐えなかった事でしょう。

他には、どういう事を営んで生計を立てていた人たちがいたのか、そういう裏の(闇の)部分となる人たちの生活についても書かれています。この辺りも興味深いですね。

更に、当時の女性がどんな立場であったか、また女性は、一体どういう風に外部と連絡を人に知られる事無く、取っていたのでしょうか。そんなところにも触れられています。

オスマントルコ時代の本はいろいろ読んでいましたが、こういう歴史ミステリーと言われる小説も、面白かったです。

この本の作者であるオルハン・パムクの著書は、まだ読みたいものがあるので、今後、読んでみたいと思っています。

なので、来年は、もっと時間が出来ると良いのですが…。

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2008年12月16日 (火)

久しぶりに…38~続き

それでは、昨日、書いた「わたしの名は「紅」」の続きを…。

章ごとに語り手が代わるため、それぞれの語り手から見た様子が書かれていくことになります。

なので、同じ場面について書かれている章もあるのですが、それによって、「種明かし」や「その人の本音(本性!)」が書かれていることが多く、余計にミステリアスとなります(私がそう思っているだけ!?)。

私としては、なかなか面白い構成だと思っています。

こうして各々の心情や行動を赤裸々に書いていくのわけですが、女性の方が狡猾で腹黒さが出ている…などと感じてしまったのも事実です。

カラがずっと思い続ける女性シュキュレは立場上、なかなか自分の感情を表に出そうとしません。なので、カラは必要以上に苦しみます。振り回されます。ですが、シュキュレの本音は…。

それにしても、人間同士の欲望というのは、今も昔も変わらないのだと言うことを、改めて思い知らされるような内容でもあります。

それは、異性への感情だったり、自分自身の名誉だったり、地位だったり、考え方の違いだったり…。

イスラム文化に対する興味も湧きますし、もっと知りたいと思う場合もあるかと思いますが、こういう人間関係に注目するのも、楽しみ方の一つではないかと思います。

もっと長い記事を書くつもりだったのですが、今日はあまり時間が無くて…。

続きは、また明日にさせていただきます。申し訳ありません。

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2008年12月15日 (月)

久しぶりに…38

またまた、久しぶりの更新となってしまいました(汗)。

早くも年末です。仕事が落ち着きましたので、漸く、書くことができます…。

本を読む時間もあまり無く、以前読んだ本の中から選んで記事を書かせて頂きます。

以前から、ずっと気になっていたオルハン・パムクの作品の中から、「わたしの名は「紅」 」を。

600ページほどの「歴史ミステリー」で、じっくり読むことをお薦めしたい本です。速読はお薦めしません(笑)。ですが、かみ締めて読むほうが良いのでは…そう思えた本です。

16世紀末のイスタンブル。オスマントルコの時代です。

冒頭部分で、その記述から殺人事件が起こったことが分かるという、ミステリー小説らしい幕開けです。

語り手が章ごとに変わるところが、特徴的。「俺が殺した!」と告白する男が語り手となっている部分がありますが、名前は名乗っていません。なので、犯人はなかなか明かされません。そして、また殺人事件が起こります。

犯人は誰なのかーというミステリー部分が軸となっているようにも思われますが、実は、複数の人間関係がこの小説の主題なのかもしれません。

細密画というイスラム世界の高貴で美しい文化を巡り、ドロドロとした人間関係がありますし、カラとシュキュレの恋愛模様もあります。

他国の文明に触れ始めたイスラム世界の人々が、それをどう解釈したのか、自分たちの文明をどう捉えるようになってきたのか…。

当時のイスラム世界をいろんな面で眺める事ができますし、当時の人々が何を考え、どう行動していたのか…そんな奥行きの深さも感じられます。

こうやって書くと、難解で、読むのを敬遠してしまうような本だと思われるかもしれませんが、そんな事はありません。読んでいくうちに、惹き込まれる何かがあるー私は、そう感じました。

ただ、少し、イスラム世界(オスマントルコ時代)についての予備知識があったほうが、スムーズに読み進められるかもしれません。

私の場合、歴史が大好きだったので(笑)。

あ、今も大好きです。

この本は、今日一日の記事で纏めるのは、ムリがありますね(笑)。

なので、もう少し掘り下げた記事は、また明日にでも…。

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