いつか子供に読ませたい!58
「友情」をテーマとした小説は、たくさんありますよね。
お気に入りの歴史小説家である、ローズマリ・サトクリフの書いた、「三つの冠の物語―ヒース、樫、オリーブ」も、友情をテーマとした短編集です。
ヒース、オーク、オリーブの三つの冠にまつわるお話で、それぞれ、ケルト、ローマ、ギリシャが舞台となっていて、時代も異なります。歴史小説が好きな方も楽しめる設定ではないでしょうか。
そして、どのお話にも、戦争(歴史上、有名なもの)や争いが関わっています。
囚われの身となって出合うケース、立場や役割は違うが同じ軍隊に所属し、共に戦い、助けあうケース、長期に渡る戦争中ではあるが、戦争や地震、疫病すら妨げることができない300年以上も続く4年ごとの「オリンピック」の開催により、休戦状態となり出会うケース。
友情をテーマとしていますが、一方で、争いや戦争がもたらす悲劇も浮き彫りとなっています…。
どれも密度の濃い、好きな作品なのですが、敢えて一番好きなものを選ぶとすれば、古代オリンピックを舞台としたオリーブの冠の物語でしょうか。
スタディオン往復走(スタディオンは約185メートルで元オリュンピア競技場の長さ)の少年の部に選ばれたアテネのアミュンタス。
選手宿舎の泉の前で、同じ競技に出場するスパルタの少年、レオンと出会います。
二人は直ぐに、お互いに最も優れた能力を持つ最高のライバルだと認め合い、惹かれ、行動を共にする事が多くなります。
そんなある日、レオンは川沿いで土の中に半分埋まった鎌の刃で足を切ってしまうのです。深く切れたレオンの足。レオンは強がりますが、アミュンタスはその言葉の中に言い知れぬ不安を感じます。
レオンは結局、競技に出場できることになるのですが、アミュンタスは競技開催まで、この事実ゆえに、戦い方を悩む事となってしまうのです…。
レオンへの友情。明らかにこの傷が走りに影響するだろう…。自分は友人として、最高のライバルとして、どう戦えば良いのかー。こういう状況を経験した人は少なくないと思います。
アミュンタスの選択、レオンの様子、競技の結末、最後に訪れる別れ…。目が離せない展開になっています。
子供が、こういう類の本を好きになるかどうかは分かりませんが、いつか読ませてみたい本の一冊です。
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コメント
「アラミスは女なんだよ!」自称読書好きの「友人」に言われた事があります!
ある漫画では、そうなっていましたが・・
アトスが、ミレデイの事を語る時は「三人称」になるからその人は、元妻と言う事も分からなかったそうです!
私は、ダルダニャンと三銃士ではなくロシュフォールとの友情に注目した感想文を書きました!
やがて四銃士の友情も壊れますね?
私は演劇部から「ミレデイの役をやってくれ!」とスカウトされました。
「中学生であの役をやれる子はなかなかいないから!」
友情物語として最高なのは「雨月物語」の「菊花の契り」ではないでしょうか?
武者小路の「友情」のラストが違う!
凄い本を発見しました!
投稿: 鵺娘 | 2006年10月11日 (水) 10時40分
>鵺娘さん
>「アラミスは女なんだよ!」
…相変わらずですね、この方は(笑)。
>アトスが、ミレデイの事を語る時は「三人称」になるからその人は、元妻と言う事も分からなかったそうです!
この方以外は、間違いなく誰にでも理解できると思います。本をあまり読まない私の主人でも理解できました(笑)。
ミレディは確かに悪女ですが、私は、個人的には好きですよ!
>武者小路の「友情」のラストが違う!
ええ!!読みたい。今度、教えてください!
投稿: リーヴル | 2006年10月18日 (水) 09時28分