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2006年9月12日 (火)

久しぶりに…8

先日、ここのブログに来てくださる、私以上に本が好きな(笑)お友達から、あの三島由紀夫さんの「金閣寺」の話が出ました。

しばらく読んでいませんでしたね~。で、また読みたくなってしまいました(笑)。

一度読んだ本でも、話題に上ったり、その作者の名前やゆかりのある場所がニュースで取り上げられたりすると、またその本を読みたくなるー私の悪い(笑)習性です。

何度読んでも、金閣寺の描写、そして、人物描写(特に主人公の青年の心理描写)に引きずり込まれ、夢中になってしまいます。

登場人物の心理描写が精密な本というのは、読んでいて推理小説以上に緊張感を感じますし、途中で止められなくなります。この「金閣寺」もその1冊です。

そして、誰の目にも「美しい」はずの金閣寺が、読み進むにつれて、何か得体の知れない、生き物(怪物)のような感じすらしてくるのです!!この生き物が、主人公の青年(溝口)の心理にいろんな場面で影響を及ぼしていきます…。

この溝口青年が病的で歪んでいる、と仰る方は多いかもしれませんが、私は柏木という溝口の友人(?本当に友人と言って良いのでしょうか?)のほうが、病的で歪んでいると思います。

柏木の持つ、壮絶なコンプレックスが、溝口に対して、ああいう言動を取らせた(利用しているようにも見えます)のでしょうか?柏木に対して、私はあまり共感できなかったので、この推測は正しくないのかもしれませんが…。

「金閣寺」の登場人物は、全て、心の中に深い闇が存在しています。一見、そんなものとは縁のなさそうな人物も、後で「心の中に抱えていた本当のもの」が見えてきたりします。人間は、みんなそういうものなのでしょうか?私は、自分の心の中が見えていない??

また、物語の冒頭に登場する「有為子」という女性。この女性が、溝口青年の後々の言動や心理に大きな影響を与えているのは間違いないと思います。

金閣寺や青年の父親だけでなく、この有為子という女性も、溝口青年にとって、大きなもう一つの柱になっています。

こういった様々な要素が絡み合い、溝口青年の心の中に芽生え始めた「金閣寺を焼かねばならない」ー。この結末に突き進んでいく青年の心理描写は、何度読んでも飽きません。圧倒されます。

それにしても…。こういう奥深い小説の感想は難しい(笑)。

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コメント

 同じ事件を扱った水上勉「五番町夕霧町」「金閣炎上」は、読みましたか?
 前者は、詩的ですが、後者には、犯人の手記が載っています。
 「大福やカステラを貰ったのに自分達だけ食べて修行僧には、くれなかった!」という部分が、妙に生々しく感じました。甘いモノに飢えている時代ですから、本当の犯行の動機は、これだったのかもしれませんね?
 今まで女の子と感想を話し合うと必ず溝口<柏木と言いました。何故?
 モーム自身は◎音だったけど『人間の絆』では、「足が悪い!」と設定した事をいつも関連ずけて考えてしまいます!

名前つけ 羊の群れを 数えたる
京都の宿の 夜の思い出

 修学旅行には、九時に寝た私が、中学生の時に作った歌であるコンクールで賞を頂きました。

投稿: 鵺娘 | 2006年9月12日 (火) 10時41分

>鵺娘さん
「金閣炎上」は読みました。「五番町夕霧町」もそのうち読みたいと思いつつ…。でも、いずれ読んで、こちらもここに書いてみたいですね。

>名前つけ 羊の群れを 数えたる
京都の宿の 夜の思い出

鵺娘さんの短歌は、大好きです。この短歌も風景が鮮やかに浮かんできますね。でも、裏には複雑なものを感じます…。

投稿: リーヴル | 2006年9月14日 (木) 09時23分

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