子供を本好きにするには大人が楽しむ!102
アメリカの火星探査機に「ソジャーナ」と名づけられたものがあります。
実はこの「ソジャーナ」という名前、日本ではあまり知られていませんが、アメリカで奴隷解放運動に身を捧げた、黒人女性にちなんだものなのです。
私も「とどまることなく―奴隷解放につくした黒人女性ソジャーナ・トゥルース」という絵本に出会うまでは、知りませんでした。
「ソジャーナ」というのは、「たえず先へ進む人」という意味だそうです。
ソジャーナの本名はイザベラ。黒人奴隷の子として生まれ、9歳で初めて奴隷の競売にかけられ、想像もつかないような壮絶な生活を送ります。
むちで血が出るまで打たれる、雇い主の都合で売られる、結婚相手まで勝手に決められ、愛する子供たちまでも雇い主の都合で売られてしまう…。
後に自由の身となった彼女は、奴隷解放運動に身を捧げるわけですが、この絵本では、彼女が「ソジャーナ・トゥルース」と名乗り、新たな生活を始めた頃までを取り上げています。
アメリカの黒人奴隷解放ー。これに関する本は本当にたくさんあります。私もいくつか読みました。
確かに法律は変わり、奴隷制度というものはなくなりました。
でも、だからと言って、こんな酷い時代のことを忘れてしまっても良いのでしょうか?知らなかった世代に教える必要は無いのでしょうか?こういった事実が書かれた本を世の中から消し去っても良いのでしょうか?
私はそうは思いません。戒め、教訓として正面から見つめ、二度とこんな事が起こらないように次の世代に伝えるべきなのです。少なくとも、私は自分の子供にはそうしています。
ソジャーナは解放運動を抑圧しようとする力を正面から受け止め、逃げようとせず、毅然とした態度で戦ったのです。こういう方々の思いも伝えるべきです。
奴隷制度がなくなっても、差別や苛めは依然として世の中に残っています。
こういう、不条理で許しがたい事をしてはならないー子供にもきちんと教えていきたいですし、そうすべきです。
こういった酷い制度があった事、それをなくすために戦った人がいることを子供に教えるには良い本ですが、私はむしろ、大人が読み、考えるべき本ではないかと思います。
絵も色彩豊かで力強く、ソジャーナの強い思いが伝わってくるようです…。
ソジャーナの自伝もあるそうなので、いずれ探して読んでみたいものです。
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コメント
奴隷制 耐えて久しき 時と聞く
されども真に 耐えているのか
奴隷制 作らなければ 生きられぬ
人の囚わる モノの正体
説明は、不要だと思います。誰かを、奴隷にしないと生きられない人の方が、心が貧しいのだと思いますよ!
投稿: 鵺娘 | 2006年5月17日 (水) 10時42分
>鵺娘さん
>誰かを、奴隷にしないと生きられない人の方が、心が貧しいのだと思いますよ!
仰るとおりだと思います。
古来から、心の貧しい人間がたくさんいた、という事にもなりますよね、こういう酷い制度が存在していたという事は!!
こういう人間にはなりたくないものです。
投稿: リーヴル | 2006年5月19日 (金) 08時59分