…マニア?19
G・ガルシア・マルケスの本は、以前、このブログで紹介した「百年の孤独」を読んでから、好きになりました。まだ、さほど多くは読んでいませんが…。
ラテン・アメリカ文学は、私にとってはまだまだ未知の分野です。もっと読みたいと思っています。
G・ガルシア・マルケスの短編集、「エレンディラ」も読んだことがあるのですが…何と言えば良いのでしょう。幻想的?悪夢?どこまでが現実?一言では表現できない本です。
この本は、「大人のための残酷な童話」として書かれたと言われています。
短編が6つ、中篇が1つ収められています。本の題名、「エレンディラ」は、中篇「無垢なエレンディラと無情な祖母の信じがたい悲惨の物語」からとったそうです。
どれも奇妙で、どれも忘れがたいお話ばかりなのですが(確かに、どれも「残酷」という言葉が似合います)、やはり、強烈で、いろいろ考えさせられたのは、「無垢なエレンディラと無情な祖母の信じがたい悲惨の物語」です。
両親がいなくて、祖母に育てられ、今は祖母に仕えている(この言葉がピッタリです!)14歳の少女、エレンディラ。
祖母のいいなりで、どこか無気力で夢を持たないようにみえる少女が、ある夜起きた火事によって、悲惨な運命を辿る事になるのです。
自分の子供(このお話では孫ですが)を食いものにする親、というのは、いつの時代も存在しているようですが、初めはそんな運命になってしまったエレンディラが哀れです。
でも、話が進むにつれて、エレンディラの中に、何か得体の知れないものが成長していきます。そして、祖母の恐ろしい過去も語られ、最後にはー。
他の短編も強烈で、奇想天外。特に「奇跡の行商人、善人のブラカマン」と「大きな翼のある、ひどく年取った男」が、印象的でした。人間の欲望と醜さが見事に描写されています。
異様な読後感が漂う本ですが、忘れがたいです…。
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コメント
母(父)の持つ 深き悲しみ 分かれども
我幼くて 母(父)を救えず
悲惨な子供時代を送ったから、その分自分の子供には、優しくして上げたいと思う人がいる反面、「自分だって、辛かったんだから、子供だけ、いい思いをしたら、不公平だ!」という考え方しか、出来ない人もいる様です。そういう人は、親にならなければいいのに!!
私の周囲には、不幸な家庭環境の子が、たくさんいました。そういう子の方が、親思いの優しい子になるし、早く大人に、なります。でも先生を、始めとする大人達の方が、「貧乏の意味を知らない」から、そういう子の事を理解出来ないのです!(暗くなってすみません!)
辛かった子供時代を、取り戻す為、バック・パッカーになった私は、南米にも行きました。一番、驚いたのは、「赤道と言ったって、(地球儀みたいに)赤線なんて引いてないじゃん!!」という事です!(笑)
南半球には、言った事が、ありますか?
投稿: 鵺娘 | 2006年5月25日 (木) 11時08分
ラテンアメリカ文学はいいですね。
フィクションを殆ど読まない私もホルへ・ルイス・ボルヘス、フリオ・コルタサル、アドルフォ・ビオイ・カサレスなんか大好きです。
特にボルヘスは個人的に好きな作家BEST3に入ってます(あと二人は中島敦、谷山浩子【本職は歌手ですが】)。
投稿: 煬帝 | 2006年5月25日 (木) 15時35分
>鵺娘さん
仰るとおりだと思います。
「自分が辛かったから、子供に良い思いをさせるなんて…」という発想をすること自体、親として不適格です。資格はありません!!
自分の子供なら、自分より幸せになって欲しいーそう考えるものなのではないでしょうか。私もそう思っていますし。
ちなみに、南半球は行った事がないんですよ。行きたい!!
赤道のお話は、笑ってしまいました。確かに地図を眺めていると、「赤い線」でもあるのかな?なんて思ってしまいますよね。私も、そう思っていました(爆)。
投稿: リーヴル | 2006年5月26日 (金) 09時18分
>煬帝さん
煬帝さんは、ラテン・アメリカ文学も詳しそうですね。
私は、まだまだです。もっと読みたいものです。何というか、独特の雰囲気がありますよね。ガルシア・マルケスで目覚めました(笑)。
中島敦、いいですね~。大好きです。以前、このブログでも記事を書いています(かなり前ですが)。
後は、夏目漱石、エドガー・アラン・ポー、阿刀田高なんかが好きです。
投稿: リーヴル | 2006年5月26日 (金) 09時23分