いつか子供に読ませたい!28
別にこれと言って何も起きていないのに、話の冒頭から異様な(暗くて、少し怖くて、何か起こりそうだと感じさせる、ということです、私流に言えば。)雰囲気が漂っている小説ってありますよね。
作者の文体、描写、登場人物の心理状態の表現の仕方によるのだと思います。
で、私は、この異様な雰囲気の漂う文章が好きなのです。
本屋さんで小説を買うとき、数ページ読んでみます。で、異様な雰囲気を感じたら…購入してしまいます…。これで、何冊購入してしまったことか!!
でも、これにつられて購入した本が、必ずしも面白かった、とは言い切れませんが(笑)。
そんな異様な雰囲気を感じて購入してしまった本の中に、安部公房さんの「砂の女」があります。
この本は最初から最後まで異様です。不気味です。
登場人物もみんなどこかおかしいですね(笑)。
でも、笑っていられないほどの恐怖も感じました。
簡単に言ってしまうと、「あり地獄に落ちた人間の話」です。
あり地獄の底にいるのはもちろんありではなく、人間の女です。
落ちるのは男。
男は逃げ出そうとするのですが、次第にその気力も失くしていきますー。
監禁状態の男は、あり地獄の穴の外(自分の元の生活)が、現実のものと感じなくなってしまうのです…。
こんな異常な世界ですが、何となく起こりそうな気がしてぞっとしました。
下手なホラー小説より怖いです。
面白かった、と言えばそうなのですが、読んだ後に何とも言えない、妙な感情が残ったのは事実です。
確か、映画も(ドラマ?)一度見た記憶があります。
モノクロで、本に負けないくらい、不気味でした…。
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コメント
原稿ありがとうございました♪
それから安部公房は私も好きです。
全作品読んでますが・・・
「砂の女」がいちばんですね。
でも映画?は見てないです~見たい~~
投稿: 麻紀 | 2005年10月26日 (水) 16時20分
>麻紀さん
私も「砂の女」が一番です。
映画(ドラマだったかもしれない
のですが)、岸田今日子が穴の中に
いる女の役で出ていました。
投稿: リーヴル | 2005年10月27日 (木) 09時13分
阿部公房は娘の名を「グスコーブドリの伝記」から取ったのですよね?
「燃え尽きた地図」も映画化されてます。
投稿: 鵺娘 | 2005年12月25日 (日) 15時55分